またひとつ「日本の宝」が消えてしまった。
映画『火蛍の墓』に登場したことで、海外にもファンの多い「サクマ式ドロップス」を製造する佐久間製菓が2023年1月に廃業してしまうのだ。
廃業の理由は同社によれば、「新型コロナの影響による販売の落ち込みに、原材料費の高騰が重なり経営が悪化していた」(NHK首都圏ナビ 11月11日)からだという。
ただ、個人的にはちょっと違うのではないかと思っている。
「なぜ廃業するのですか?」とマスコミに問われたので、会社としては直近の財務状況から、「コロナ」や「原材料高騰」という要因を挙げただけ。この2つはあくまで「廃業」という決断の背を押しただけなのではないか。
同社をこのような苦境に追いやったのは、日本の多くの中小企業に共通する別の大きな問題がある。それは「新たな成長の柱」をつくることができなかったということだ。
「サクマ式ドロップス」という国民的知名度抜群のロングセラー商品への依存を断ち切ろうと、収益構造の改革などさまざまなチャレンジを続けてきたが、残念ながら現在にいたるまで結果が出すことができなかった。そのようなビジネスモデルに大きな問題を抱えてじわじわと経営が低迷していたところに、コロナが直撃してさらに追い討ちをかけるように原材料高騰があった、という構図だ。
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