都内で利用されている代表的なタクシー配車アプリは「GO」「DiDi」「S.RIDE」の3つだ。GOを導入するタクシーは2万2000台、S.RIDEは1万500台、DiDiは2400台となっており、事実上、GOとS.RIDEの二強となっている。
迎車料金の設定は実際に手配するタクシー会社によって異なる。これはいずれのアプリでも同様だ。アプリ経由で配車された場合、利用者が支払った手配料金のうちのシステム利用料を、タクシー会社がアプリを運営する事業者に支払っている。タクシー会社とアプリ事業者がどういった割合で料金を案分しているかは、これまで公開されていなかった。
タクシーの手配料金はタクシー会社が各社で自由に設定できるが、「初乗り料金が上限」という規制がある。すなわち東京地区で言えば最大420円だったものが最大500円となったことになる。
しかし今回の値上げを機会に、GOを運営するMobility Technologies(MoT)はシステム利用料金を消費者に明示した上で、運賃とは別に請求する仕組みに変更している。料金の透明性を高め、同時にサービス価値向上のために必要な手配料を利用者に対して設定することが目的だという。
一方でタクシー会社は顧客が手配アプリを使った場合、タクシー料金の中から手配アプリの事業者にシステム利用手数料を支払っている。これは現在も同じであり変化していないが、MoTは今回の改定のタイミングで、タクシー会社間で取り決められた「数十円の範囲でまちまち」に払い受けるシステム利用手数料に加えて、ユーザーに対し一律100円のアプリ手配料を追加設定した。
つまり、タクシー会社からMoTに支払われる料金は「増加した」ことになるが、GOでの手配料100円を合計しても、以前の迎車料金よりも安くなっているケースが多い。具体的には、GOを導入する4つのタクシー会社のうち、荏原交通は値上げとなるが、それ以外のタクシー会社は安くなったのだ。
荏原交通はGO導入タクシー全体の3%で、迎車料金は上限の500円に値上げされる。また、ごく一部のGO導入業者(全体のおよそ2%)は420円に据え置かれ、こちらも若干の値上げになる。しかし、残りの約95%を占める日本交通、帝都自動車交通、東京無線の3社は迎車料を300円に値下げしたため、新たに設定されたアプリ手配料の100円をプラスしても400円、すなわち20円の値下げとなるのだ。
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