続くセミナーで登場したのは、ソフトウェアによるプロダクト開発支援、および開発に関する研修を提供するTably(テーブリー)社の及川卓也社長だ。書籍『プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで』(翔泳社)などを執筆し、アドビ社のエグゼクティブフェロー(顧問)も務める人物だ。
及川氏は、多くの日本企業は「DX(デジタル・トランスフォーメーション)のはるか前段階にいる」と指摘する。
「ペーパーワークをデジタル化するといった既存業務の効率化は、デジタライゼーションであってDXとはいえません。既存事業を大きく変革させる、あるいは新規事業でデジタル技術を武器として使いこなせる状態になってこそDXになります」(及川氏)
では、どのような事例がDXに当たるのか。及川氏は、リテールDXで先進的なトライアルホールディングス、ワークマン、カインズをあげた。
1981年創業のトライアルホールディングスは、ソフトウェア開発の事業会社としてスタートした。92年に小売業に進出し、22年現在は自社のIT技術を駆使したスマートストアやディスカウントストアを274店舗運営する。酒類販売時の年齢確認を不要とする日本初の「24時間顔認証決済」などが話題を集め、メディアに多く露出している。
新業態店「WORKMAN Plus」が大ヒット、10年連続で過去最高益の達成と好調な話題が絶えないワークマンは、「エクセル経営」が功を奏した。その変革を指揮したのが、12年に入社した現専務取締役の土屋哲雄氏だ。
エクセル経営に舵(かじ)を切るにあたり、社内でエクセル研修を実施。全社員の35%が分析ツールをつくれるようになり、全社員が分析されたデータを活用できる状態を目指した。すると、デジタライゼーションさえできていなかった同社で、社員発の分析ツールが多数生まれ、社員が自ら業務改善の提案をするように。5〜6年で文化が様変わりしたという。
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