江頭氏が偉大な創業者であることは間違いないが、その「思い」を守るだけでは未来はない。組織というものは外の世界からフィードバックを得ながら変化しないと硬直して、全体主義に陥るとピーター・ドラッカーも指摘している。つまり、ときには、創業者の哲学を見直すことも必要なのだ。
ファンからすれば屈辱的だし「変わらなくていい」という思いもあるだろう。しかし、伝統というのは「革新」を続けることだ。常連客というのはどうしても保守的になりがちだが、そこだけを見ていても新客は入ってこないので、老舗は衰退していくだけだ。伝統のある和菓子屋などが廃業するのは、実はほとんどこれが理由だ。
もし今のパンケーキにも根強いファンがいるのでどうしても残したいということならば、改良した新しいパンケーキとともに「食べ比べセット」のような形で提供して、ファンにジャッジを下してもらうなんて企画にしてもいいではないか。
パンケーキの酷評ばかりが話題になっているが、実は「ジョブチューン」では満場一致で合格するメニューも多かった。一流調理人の皆さんは、ロイホの高い調理技術、味に妥協しない姿勢、手間隙をかけた下ごしらえなどを「絶賛」していたのである。
そのようなプロが、いったいどんな新しい「ロイホのパンケーキ」を開発するのか期待したい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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