スーパーで服が買われない時代に、ベイシアがアパレル新ブランドを立ち上げた理由磯部孝のアパレル最前線(1/3 ページ)

» 2022年12月13日 05時00分 公開
[磯部孝ITmedia]

 カインズやワークマンを抱えるベイシアグループの中核である総合スーパーのベイシアが、レディスアパレル小売り専門店のハートマーケットとの協業商品を展開し始める。両社で新ブランド「&H」を立ち上げ、12月14日からベイシアの一部店舗で数量限定販売する。

 ベイシアの担当者によると、婦人衣料の売上高構成比が2006年の22.4%をピークに、現在18.8%まで低下している。量販店における衣料品部門の共通した悩みである「来店客数はあるものの、衣料品売り場にまで足を延ばしてもらえない」という問題点を、今回の協業という取り組みを通じて、解決したいと考えているようだ。

出所:ベイシアのプレスリリース

 一方、協業先のハートマーケットは、1993年に群馬県前橋市に1号店をオープンした後、イオンモールやららぽーとなどの大型商業施設に相次ぎ出店。16年度(17年2月期)には売上高100億円を達成したが、直近はコロナの影響もあってか、60以上あった店舗数を減らす(12月12日時点で51店舗、公式Webサイトから確認)など規模縮小を余儀なくされているようだ。

 同社は、今まで卸売りをした経験がない。来店客が見込める環境の中で、賃料や人件費という固定費の負担のない売り場に進出するということは、新たにチャレンジを試みたといえよう。

衣料品は落ち込むも、食品が伸び

 「日本チェーンストア協会加盟店の衣料品年次販売額」を見てみよう。06年に販売総額に対する衣料品販売額の構成比は12.9%だったのが、直近の21年では5.5%と半分以下にまで落ち込んでしまっている。

日本チェーンストア協会のデータから筆者が作成

 この間、チェーンストア協会加盟企業も85社から56社に減ってしまっているとはいえ、食料品の販売額は伸びている。食品販売額構成比は60.3%から68.6%へと上昇しているのだ。つまり、ベイシアだけでなく多くのチェーンで「衣料品が売れない」という悩みに直面していることが分かる。

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