運送が本業のヤマト運輸がエンタメサイトを立ち上げたのはなぜか。背景には、コロナ禍で変化した配達の姿がある。
コロナ禍で急速に拡大したのが「置き配」だ。玄関前や宅配ボックスなど、あらかじめ指定された場所に荷物を届けるサービスだ。もともと、ネット通販(EC)の拡大で増えた「再配達」を減らすために始まったが、コロナ禍における非対面需要が普及を後押しした。
宅配ボックス事業を手掛けるナスタ(東京都港区)の調査(回答者1000人)によると、2022年に「置き配」サービスを利用したことがある人は61.3%で、コロナ前の19年(26.8%)から2.3倍に増えた。
置き配サービスの普及で利便性が高まった一方、ドライバーによる直接手渡しが減ったことで、利用客と接する機会も減少。そこで、ヤマト運輸は「自社を身近に感じてもらえるような新たなコミュニケーション手段が必要」だと考えたという。
こうして、利用客とデジタル上での接点を強化することを目的に、同社初のエンタメサイト「クロネコみっけ」を立ち上げた。
「なんでヤマトが? そんなことは気にせず、ごろにゃーんっとお過ごしください」――。ユーザーの「安らぎの場」を目指し、“ゆる〜い”言葉がサイト上に並ぶ。
同社が利用客との接点を重視するのはなぜか。同社の社訓から、その理由の一端が垣間見える。
「運送行為は委託者の意思の延長と知るべし」
この社訓には「『運送行為』が単に物を運ぶことだけではなく、利用客(委託者)のこころ(意思)を届け、利用客(委託者・受取人)に喜びをもたらす」という意味が込められているという。
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