西武池袋駅上が「ヨドバシカメラ」に? 西武HDの苦悩とは街づくりも鉄道の仕事(2/4 ページ)

» 2022年12月13日 08時00分 公開
[小林拓矢ITmedia]

西武HD、後藤高志社長の反発

 西武HDの後藤高志社長は『日本経済新聞』(11月29日)のインタビューで、池袋が家電量販店の激戦区になるのは好ましくなく、百貨店の文化的側面を大切にしたいと答えていた。記事によると、池袋はアートやカルチャーが集まる文化都市として街づくりを進めていて、そこに西武池袋店は調和する必要があるとしている。百貨店はブランド店を中心に、街の文化発信拠点としての役割を果たしてきたという。

西武池袋線 9000系車両

 西武鉄道と西武百貨店のルーツをたどると、もともと同じグループだったので、遠い親戚のような存在ではあるものの、現在は資本関係がない。ただ、西武池袋本店は土地面積の約50%、延べ床面積の約10%を西武鉄道が保有している。

 事実上、西武池袋本店と西武鉄道の池袋駅は一体となっており、西武池袋本店の家賃を西武鉄道が受け取っていることになる。資本関係はなくても、過去の歴史的経緯から百貨店は西武池袋駅の上にある。後藤社長は、百貨店の文化的側面を重視し、池袋に文化発信拠点が存在することの重要性を訴えているのだ。

 百貨店は、安さをウリにした量販店とは異なり、文化の中心となる場所として西武鉄道の池袋駅上に存在すべきだ、というのが後藤社長の考えである。西武HDの戦略として、文化の発信拠点である百貨店の大家を務めることは、鉄道ビジネスにとっても重要なのだろう。

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