先日アップルのティム・クックCEOが久々に来日し、日本とアップルの結び付きについて大々的なキャンペーンが行われた。
キャンペーンというと聞こえが悪いかもしれないが、以前からアップルが行ってきたパートナーシップや投資を数字や具体的な製品での事例に当てはめ、日本を代表するメーカートップや政府首脳との面会を通じて訴求したということだ。
iPhoneシリーズのカメラ画質を支えるCMOSイメージセンサーを供給するソニーとのパートナーシップを強調。以前から引き続いて、電子部品だけではなく、多様な日本の特徴的な製造業と結び付き(2018年以降の投資は1000億ドルに及ぶ)、アップルの高付加価値製品を支えていることをアピールした。
思い起こせばスティーブ・ジョブズ氏が存命の時、彼はiPodのバックパネルを日本の職人が磨き上げることにこだわった。そうしたモノづくりへの姿勢は変化していない。その後もApple Watchを投入する際、日本の時計ケースメーカーにステンレスケースの磨きを依頼したり、世界でも高いシェアを誇る“勲章”メーカーとストラップを開発するなど、過去からの関係が続いていることを示している。
無論、世の中の流れから取引がなくなった例もあれば、他国生産の電子部品に乗り換えた例もあるが、円安傾向が進んだ昨今の為替状況や、米国と中国の関係が難しくなっている昨今、日本との関係はさらに深まっていくのではないだろうか。
このキャンペーンに乗じたソニーもなかなかしたたかで、TSMCとの協業からのアップルとのパートナーシップを強調。そして熊本への半導体工場建設情報リークという流れを作った。
こうしたセルフプロモーションのストーリー作りが不得手な日本企業が多い中で、このソニーの動きは近年まれに見る優れたものだった。
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