ティムが来日して日本企業との強い結び付きを訴求するまでもなく、アップルの業績、とりわけiPhoneの売れ行きは株式市場から注目され続けてきた。アップルのサプライヤーにとって、ちょっとした売れ行きの上振れ、下振れが大きく業績に影響するからだ。
“今年のiPhoneは売れてない”という年末近くになると定番のうわさや、夏前には”今年のiPhoneは控えめ”といった情報も発信源はサプライヤーの業績見通し、あるいは守秘義務を持たないサプライヤーの子会社から出ていることも少なくない。
IR担当者がうわさを作り出しているというわけではなく、株式公開企業として必要な情報開示をすると、結果的にiPhoneへと結び付く(あるいはアナリストが結び付ける)というわけだ。
そういった視点で、先日に本誌でよく読まれた記事「iPhone14買わずに『iPhone15を待つ』が60% その理由は?」を読み返すと、ちょっと違った景色が見えてくる。
日本の携帯端末市場の大多数はiPhoneが占めている。この特殊な状況を考えれば、iPhoneの高級・高性能化や円安を背景にした値上げなどから、今後はその足元が崩れるのではないかという話題につながる。これらを自分ごととして興味を持つ読者が多かったのかもしれない。
しかし僕はこの記事のデータを見て、むしろiPhone 14、思ったよりも売れている(消費者の興味をひいている)のだなと、逆の意味で驚いた。
この記事では「iPhone 14を買わずにiPhone 15が出るのを待っているか」という質問に6割の人が「はい」と答えているのだが、そのうちの多くはiPhone 15も購入しないだろう。世の中のほとんどの消費者は最新最先端のiPhoneを選んでいないからだ。
こうしたアンケートは質問の文章や順番が重要で、それによって結果が左右されやすいものだが、そもそもiPhone販売の中心、もっとも多く売れているのはiPhone 14や14 Proといったナンバーシリーズではなく“SE”だ。
アップルは端末の販売内訳を発表していないため、正確なモデルごとのシェアは不明だ。しかし新しい端末には新しいケースや保護ガラスがつきもので、それらの販売数シェアをアクセサリメーカーに尋ねると、それはもう圧倒的にiPhone SEが多数派なのだ。
最先端の素材、部品、加工技術で量産されるProシリーズはもちろん、その年のiPhoneを代表するナンバーシリーズは話題に事欠かない。しかしiPhoneとは何かという基準を定めつつ、時代に合わせて名称をそのままにアップデートを続けているiPhone SEが、多くの人にとっての選択肢で、iPhoneのエコシステムを支える基盤になっている。
にもかかわらずアンケートではSEが選択肢として存在しないので、現実の購買動向とは異なるだろう。そんな中で来年のモデルを6割が待っていて、残りの4割はiPhone 14を購入したい(あるいは購入してもいい)と思っていると言うのはちょっと驚きの数字ではないか。
iPhoneの強さはプラットフォームとしての強さだ。使い勝手や製品としての作りの良さだけではなく、一度使い慣れてさまざまなサービス、アプリを引き継いで利用することを考えると乗り換えがどんどん困難になる。
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