22年を通して、外食の値上げが相次いだ。
外食に限らず、食品の価格が上がっている。食材である食用油、小麦、大豆、肉、魚などの仕入価格が高騰しているので、仕方ない。
帝国データバンクの「『食品主要105社』価格改定動向調査」(12月)によれば、22年通年の値上げ品目累計は2万822品目で、値上げ率平均は14%だった。
値上げの背景に何があるのか。まずは、コロナ禍から回復していく過程で発生した人手不足。国内外を問わず、従業員を雇うのに時給を上げなくては、人が来なくなった。都内における牛丼店の深夜帯の時給は1800円程度にまで上がっているケースもある。
もう1つは円安。現在は1ドル=130円程度にまで戻してきているが、一時期は150円近くに迫った。実は中国の人民元、韓国のウォン、EUのユーロなど、世界中の通貨がドルに対して下落していて、ドルの独歩高になっている。日本の食料自給率はカロリーベースで38%で、生産額ベースでは66%。安価な食材ほど、輸入に頼っている。庶民の味方といわれる安価な飲食店ほど、輸入食材に依存しているので、円安が大きく影響する。
22年2月に始まった、ロシア・ウクライナ戦争の影響も大きい。ロシアは世界最大級の天然ガスと石油の生産国。ロシアとウクライナは、ヨーロッパの大穀倉地帯。資源と食料で、世界的な逼迫(ひっぱく)の要因となっている。また、欧州から日本への空輸では最短のシベリアルートを飛べないので、迂回による輸送コストが多くかかっている。
さらに、厄介なのは日本の業者は食料の輸入において、中国に買い負けている。経済が豊かになれば牛肉の消費が増えるというが、近年の中国にも当てはまる。また、中国でも和食がブームなので、海産物の需要も増えている。中国の業者は、日本の業者のような細かい要求はせず、多少高くても買うので、輸出する側に喜ばれているという。
あまりにも多くの外食企業が値上げしたので、いちいち追えないが、総じて消費者は仕方がないものとして受け入れているようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング