東急の実験では、混乱を招きかねない懸念から顔認証や決済は利用せず、顧客自身がサンプルを選び、その行動データを取得する内容にとどめた。
実験は、22年9月15〜21日、10月27日〜11月9日の2回、トータル約3週間実施した。結果的に、約5000人のLINEアカウントの新規登録者を獲得し、約6000人がコウリバを利用。最も利用率が高かったプラスクビューティーでは、対象顧客の約21%、渋谷ヒカリエ シンクスでは約14%、東急百貨店本店では約5%の顧客が参加した(※)。
「実証後に判明したのですが、プラスクビューティーの利用率が高かったのは、ショップがあるフロアに実機を設置したためです。渋谷ヒカリエ シンクスや東急百貨店本店では、別のフロアに実機を置いていたので、それより利用率が下がっています」(吉田氏)
渋谷ヒカリエ シンクスでは、1回目の実証時、地下鉄の駅に直結した地下1階に設置したが、2回目は2階の入り口付近に設置した。店舗側は目立つところに置いたほうが認知や利用率が上がるだろうと考えたが、1回目の利用率は約20%だったのに対し、2回目は約14%に下がってしまった。
とはいえ予想以上の反響で、ときに50〜60人が列をつくることもあったとか。
「化粧品のサンプルを受け取れることにも、それなりのニーズがあったと思います。ただ、自分に置き換えるとサンプルのために20〜30分も待たないだろうと。未知の体験に引かれた方も多かったのかもしれません」(吉田氏)
実際に、顧客から「おもしろい体験だった」という声や、手にとったアイテムの情報がリアルタイムでサイネージに表示された際、「えー!」と声をあげて驚く人も少なくなかったそうだ。
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