日立の西本氏は、「多くの方に利用していただき、マーケティングや小売の可能性を広げるような実証実験ができたと感じている」と話す。本実験では、コウリバの技術を担う同社のエンジニアも店頭に立って、顧客対応をしたそうだ。
顧客が楽しむ姿を見て純粋に喜びを感じた一方で、「顧客はシナリオどおりに扱わない」という事実にも直面。例えば、リアルタイムで頭上のサイネージに商品情報が表示されても、顧客はあまり興味を示さないだろうと予想していたが、実際は非常に反応がよかった。現場での収穫を生かして、アップデートするという。
現状のコウリバの課題を尋ねると、「計上ミス」「盗難リスク」の2点を挙げた。
「数百件に1件ほどですが、商品の計上ミスが発生します。利用者の挙動に左右されるところが大きく、ミスをゼロにするのは技術的に難しいだろうと。顧客にどんな利用の仕方をうながすかという運用面の課題だと捉えています。
盗難のリスクは、どの無人店舗にもあります。まずは、オフィスやホテル内など一定のクローズドな環境で導入を広げ、最適な機能や運用を突き詰めたい。その後、場所を問わず全国各地に広げて、利便性の高い買い物体験を提供したいですね」(西本氏)
導入数を増やした先に見据えるのは、取得した顧客行動データをベースとしたメーカーや企業との協業だ。高精度のマーケティング施策を共に実現したいと意気込む。
技術の発展により、多角的なデータを取得できるようになったが、多くの企業はそれをどう活用すべきか試行錯誤している。当然コストにも限度があり、自社にとって取得すべきデータとそうでないデータを見極め、より有益なところに集中する必要がありそうだ。
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