日テレ「制作費を大幅削減」の苦境──減収減益の「視聴率王」を、TVerは救えるか?妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(3/4 ページ)

» 2023年01月30日 11時00分 公開
[妄想する決算ITmedia]

「五輪の反動」だけでは説明できない広告減

 テレビ広告には「タイム広告」という番組を指定して流す広告と、「スポット広告」という番組を指定せず流す広告があります。それぞれの推移を見てみるとタイム広告は前年同期比8.7%減、スポット広告は3.1%減です。

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 同社は、タイム広告に関しては東京オリンピックによる反動減の影響があるとしていますが、スポットに関しても減少していることから、広告の出稿が全体的に減少していることが分かります。

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 広告収入の見込みに関しても、5月時点での予想はタイム広告が6.7%減、スポット広告は0%と横ばいの予想とオリンピックによる悪影響しか見込んでいませんでした。しかし、22年11月時点ではタイム広告が7.8%減、スポット広告が2.6%減へと予想を下方修正しており、想定以上のペースで広告収入が減少しています

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 広告収入減少の要因として考えられるのは、やはり視聴率の低下です。視聴率を見てみると、日本テレビは全日で前年比0.4ポイント減の3.7%、ゴールデン帯は0.3ポイント減で6.0%となっています。

 さらにこれは日本テレビだけの問題ではなく、主要なテレビ局全社で全ての時間で視聴率低下とテレビ離れの状況が鮮明になってしまっています。テレビ局はもちろん広告料で運営されているため、視聴率が下がれば広告料も減少していきます。

 これは経済活動正常化の中でコロナの巣ごもりの影響が減少したからではないかとも考えられます。コロナの影響がなかった19年3〜9月と個人視聴率を比べてみると、下記のように大きく下落しています。

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  • 全日:4.3%→3.7%
  • プライム:6.8%→5.6%
  • ゴールデン:7.0%→6.0%

 コロナ禍を通じて動画配信サービスが大きな成長を遂げたことで、純粋にテレビ離れが進んでいるということは間違いないでしょう。

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