テレビ広告費の推移を見てみると、20年はコロナで大きく悪化したものの、21年には19年と同程度の水準まで回復しています。しかし、その一方で視聴率は大きく下落しているわけですから、この広告料の水準が保てるとは考えられません。
現在の広告収入下落の状況を見ると、視聴率の低下が続く中で広告離れが進んでいると考えてよいでしょう。22年のテレビ広告収入の発表には注目が必要です。
また、広告収入は減少する一方で番組制作費は5.8%増、人件費は6.4%増となっています。
経済活動がコロナ禍前に戻る流れとなり、番組制作も正常化が進んだことでコスト面は増加していますが、視聴率がついてきていない状況で、収益性は悪化してしまっています。
前期比では増加していた番組制作費も、コロナ禍前の496億円から433億円まで減少した状況が続いています。広告収入が減少する中で番組制作費は以前の状況には戻らないでしょう。
むしろ広告収入の減少に合わせて縮小を余儀なくされていくと予想され、コンテンツ制作においてもテレビ局は苦しい状況にいることが分かります。
そんな中でも、成長事業であるTVerを中心としたデジタル広告は31.3%増と大きく伸びています。とはいえ、広告費の規模は全体の1.8%程度にとどまり、非常に小規模で企業の状況に影響を与えられるような規模ではありません。
また、成長市場の動画配信市場でHuluを展開するHJホールディングスの業績は売上高が169.3億円、営業利益は3.6億円で、こちらも業績へのインパクトは小さいです。
コロナ禍前の19年の段階では売り上げは118.4億円、営業利益は2.1億円。売り上げは42.9%ほど増加しておりコロナ禍で成長していますが、主力事業となるのは難しそうです。また、利益率は非常に低いです。
業績は悪化傾向とはいえ日本テレビはまだまだ大きな利益が出ており、グループ全体としてはHuluは成長性を重視して投資を進めている状況と考えられます。
日本テレビでは直近の業績は増収ながらも減益となっており、テレビ局単体の業績としては減収減益で広告収入は減少が続いています。
動画配信サービスが伸びる中、コロナ禍前と比べても視聴率は低下が進み、広告収入の減少も日本テレビの想定を上回るペースで進んでいます。
一方で、経済活動の正常化によって人件費や番組制作費は増加傾向にあるため、業績の悪化が続く可能性は高そうです。
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