シロカの「全自動コーヒーメーカー」はなぜ売れているのか 背景に2つの理由水曜日に「へえ」な話(3/4 ページ)

» 2023年02月01日 08時30分 公開
[土肥義則ITmedia]

抽出温度の設定も苦労

 もう1つの追加機能は、抽出温度である。一般的に浅煎りの豆は高温のほうがおいしさを引き出すことができるので、「94度」になるように。一方の深煎りの豆は、香ばしさやコクを出すために「84度」に。2つの温度になるように狙いを定めたわけだが、ピッタリにするのは想定以上に時間がかかった。ミルのときと同じように、調整、調整、また調整である。

 ヒーターの温度は何度がいいのか、吸水ポンプから送り込む水の量はどのくらいがいいのか。この2つのバランスがカギを握るわけだが、ちょうどいい塩梅を見つけるために大変な作業が待ち受けていた。

 94度になるように水の量を少なくすると、100度になったり、84度になるように水の量を多くすると、75度になったり。「ヒーターの温度をちょっとだけ熱くして、水の量をちょっとだけ少なくして。こんなやりとりを何度も繰り返して、製品はようやく完成しました」(菅原さん)

コーヒー豆を入れる
抽出温度と杯数を選べるようにした

 それにしても、なぜ全自動コーヒーメーカーをつくる会社が増えているのだろうか。理由は2つあって、1つはやはり「コンビニコーヒー」の影響が大きい。店のスタッフから紙コップを渡され、マシーンにそれをセットして、あとはボタンを押すだけ。こうした一連の流れに慣れたこともあって、「自宅でも、手軽においしいコーヒーを飲みたい」というニーズが高まっているようである。

 もう1つは、新型コロナの感染拡大が影響している。冒頭でも触れたようにコーヒーの消費量は10年ほど前から伸びているものの、20年に減速してしまった。理由は、外出自粛である。

 喫茶店に行けない、カフェにも行けない。となると、コーヒーを飲む人がガクンと減ってしまった。しかし、である。在宅時間が増えたことによって、家でコーヒーを飲む人が増えたようで。総務省の調べによると、20年のコーヒー支出額(1世帯当たり)は6988円で、前年から610円も増えているのだ。

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