顧客を大切にする企業であるほど「従業員エンゲージメント」(自社への愛着・信頼の度合い)が高い――。そんな結果が、6000人超を対象とした調査から分かった。ビジネス環境が大きく変化し、企業の「非財務情報」に注目が集まる中、人材をコストではなく資本と捉える「人的資本経営」が今後、企業の競争優位を左右するとされる。人的資本経営の重要指標となる従業員エンゲージメントが、企業の「顧客志向」と関連しているとの調査結果は、人的資本経営の実現を目指す企業にとってヒントになりそうだ。
調査を手掛けたのは、従業員エンゲージメントに関する調査・分析を行うエモーションテック(東京都港区)。今回、「広告・情報通信」「金融・保険」「不動産」「飲食」など、主要15業界の企業に勤務する6187人に、2022年7〜8月にインターネットで調査を実施した。
従業員エンゲージメントは「Employee Net Promoter Score」(エンプロイー・ネット・プロモーター・スコア)の頭文字を取ってeNPSと略称される。eNPSは「親しい知人や友人にあなたの職場をどれくらいすすめたいか」と質問し、「職場の推奨度」を数値化したものだ。
推奨度は0〜10の11段階で尋ね、9〜10点を「推奨者」、7〜8点を「中立者」、0〜6点を「批判者」と分類する。「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値がeNPSとなる。米アップル社などが従業員の愛着度などを測るために導入したことで世界に広がった。
今回の調査では、eNPSの算出に加え、企業が顧客の利益を最優先する「顧客志向」が従業員エンゲージメントの向上に関連しているという仮説のもと、以下3つの質問を実施し、両者の関連性を分析した。
(1)あなたが働くうえで「会社が顧客志向であること」はどの程度重要ですか
(2)あなたの会社はどの程度、顧客志向だと思いますか
(3)あなたは顧客志向で業務に取り組むことができていますか
最初に、「現在の職場で働くことを親しい友人や知人に、どの程度おすすめしたいと思いますか」との質問で、推奨度を11段階で尋ねたところ、9〜10点をつけた「推奨者」は全体の4.1%、6点以下をつけた「批判者」は78.2%となり、eNPSのスコアは「−74.1」となった。
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