全国旅行支援で「宿泊料が高止まり」──ドーミーイン、稼働率は“復活”せずとも黒字転換できたワケ妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/4 ページ)

» 2023年03月07日 05時00分 公開
[妄想する決算ITmedia]

売上構成は3割が寮事業、6割がホテル事業

 共立メンテナンスの事業セグメントは

  • (1)学生寮や社会人寮などの寮
  • (2)ホテル
  • (3)総合ビルマネジメント
  • (4)フーズ
  • (5)デベロップメント

と5つあります。

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 売上構成としては、寮事業が31%、ホテル事業が63%を占めます。今回は、この2つの主力事業にフォーカスします。

 それぞれの事業の業績の推移は

  • (1)寮:売り上げ364.5億円(7.9%増) 利益28.3億円(5.4%減)
  • (2)ホテル:売り上げ745.2億円(61.5%増) 利益72.9億円の赤字→58.7億円の黒字

となっており、寮事業は増収減益ですが、ホテル事業が増収で大幅な黒字転換しており、今回大きく業績が改善した要因はホテル事業にあったことが分かります。

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 まず寮事業に触れると、コロナ禍で入居率が大きく悪化しています。コロナ禍前は98.7%とほぼ100%に近い入居率がありましたが、92〜93%で推移するように。入居率の低下が業績に悪影響を与えていたことが分かります。

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 留学生の入寮に影響が出た他、社員寮においても新入社員研修の需要が減少したことが影響したようです。

 直近でも一部の留学生の入国延期が起きていると報道されます。コロナ禍が寮事業に与える影響は今なお続いています。市場予測を見ても、少子化で国内の学生数は減少している上、留学生も回復傾向が続く見通しではあるものの、コロナ禍前の水準への回復は26〜27年頃の見通しです。

 寮事業は市場シェアを上げることで事業成長を考えているようですが、大きな成長は期待できない状況のようです。となると、今後の業績拡大はホテル事業にかかっていると言っても過言ではありません。

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