「ポムの樹」も苦渋の決断……ファミレスを悩ます卵不足、なぜ起きた?回復は1年先か(1/2 ページ)

» 2023年03月16日 06時00分 公開
[濱川太一ITmedia]

 鳥インフルエンザの流行で鶏卵の確保が追い付かず、ファミリーレストランなどでは卵商品の販売休止が相次ぐ。価格も高騰する中、供給の回復には半年〜1年ほどを要するとも指摘され、外食産業各社は頭を悩ませている。

卵不足の影響でファミレス各社は対応に追われている(ゲッティイメージズ)

ポムの樹、すかいらーく、ジョイフルでは

 「見通しは全く立っていない」

 こう話すのは、オムライス専門のチェーン店「ポムの樹」を運営するポムフード(鹿児島県姶良市)の担当者だ。卵不足を受け、同店では卵を6個使用したオムライスLサイズの販売を3月1日から休止している。販売再開の目途は立っておらず、「一人でも多くの利用客にオムライスを提供したいと考え決断した」と担当者は話す。

「ポムの樹」ではオムライスLサイズの販売を当面休止している(同社公式Webサイトより)

 同店以外でも、卵を使用したメニューの販売休止や、別メニューに代替する動きが進む。すかいらーくホールディングス(HD)では、ガストとバーミヤンでパンケーキやまぐろユッケ、天津飯など約10品の販売を2月16日から休止。さらに、しゃぶしゃぶ専門店「しゃぶ葉」では、すき焼き風のだしを注文した利用者に無料提供していた卵を有料化し、希望者に1個55円で提供する形に切り替えた。

すかいらーくHDはガストやバーミヤンなどで一部メニューの販売を実施している(プレスリリースより)

 ファミリーレストラン「ジョイフル」でも2月28日から同様の対応を実施。生卵(単品)やオムライス、スクランブルエッグなどの販売を休止にしたほか、和定食の目玉焼きをベーコンに変更したり、豚丼の生卵をキムチに変更したりして提供している。

ジョイフルでも卵を別の食材に変更して提供するなどしている(プレスリリースより)

 帝国データバンクの調査によると、上場する外食主要100社のうち、約2割にあたる18社で卵を用いたメニューの販売を休止していた(3月5日時点)。ファミレスやうどん店など大手チェーンが中心で、生卵のセルフサービスに個数制限を実施するケースもみられるという。

 価格も高騰している。JA全農たまごによれば、鶏卵1キログラム(東京Mサイズ)の卸売価格は300円を超え、卵メニュー販売休止はさらに広がりそうだ。

鶏卵1キログラムの卸売価格は300円を超えた(帝国データバンクプレスリリースより)
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