深刻な卵不足に至った原因は主に3つ挙げられる。1つは鳥インフルエンザの拡大だ。農林水産省の発表では、今季の殺処分数はすでに過去最多の約1500万羽を超える。全国で飼育される採卵鶏の1割にあたる数だ。同省は「供給回復には半年から1年ぐらいを要する」としている。
2つ目は、飼料価格の高騰だ。円安やウクライナ情勢などが影響し、トウモロコシなどの飼料価格が高騰している。
さらに3つ目に挙げられるのが、日本産生卵(鶏卵)の海外での需要拡大だ。海外への生卵の輸出は右肩上がりで伸びており、日本養鶏協会の統計によると、2022年の輸出量は前年比4割増の約3万546トン。このうちの9割以上が香港への輸出分だという。
供給の回復が当面見通せない中、外食企業にはどのような対策が求められるのか。
「鳥インフルや豚コレラなど、動物性食材は今後も同様の問題が起こりうる。企業としてバックアッププランを用意しておくことが重要だ」
こう話すのは、飲食店向けのコンサルティング事業などを展開するフードダイバーシティ(東京都台東区)の守護彰浩社長だ。卵不足が表面化して以降、同社には飲食店を中心に多数の相談が寄せられているという。
守護氏は、特定の食材が欠けても対応できるメニュー開発が求められると指摘する。今回のような卵不足であれば、植物性の原材料だけで作ったキユーピーの卵風商品「HOBOTAMA(ほぼたま)」など、代替できる商品も登場している。
価格高騰についても守護氏は「現時点では下がる要素が見当たらない」と指摘。世界的なインフレのみならず、「生で食べられるほど卵の品質が高いのは世界でも日本ぐらい。海外で需要は高まる一方だ」とし、価格高騰は必然的との見方を示している。
外食企業にとっては、卵不足の厳しい局面が当面続く。同様の事態が今後も起きうることを想定した対策が求められそうだ。
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