だが月20GBのデータ使用量と、1回5分間のかけ放題だけであれば、同等のサービスを提供している競合は多くある。木野社長は「ホリエモバイルは競合と価格勝負はしない」と話す。
「競合と数百円の価格勝負をするのではなく、堀江さんのコンテンツ提供などユーザー特典によって差別化を図っていきます」(木野社長)
ユーザー限定のオリジナルコンテンツとして、堀江氏がビジネス、政治、経済を分析する「デイリーホリエニュース」、今後展開予定の「HORIEプロジェクトの参加権」、堀江氏などが展開する「小麦の奴隷」のカレーパン月1回無料提供などの特典を用意した。デイリーホリエニュースは「ZATSUDAN」「Voicy」をはじめとした堀江氏の有料コンテンツから配信することもあり、全て合わせると1万円以上の特典になるという。ユーザーに契約価格以上のメリットを提供する。
同社は他にもメンタリストDaiGo氏による通信サービスと保護ネコプロジェクトへの参加や応援寄附をパッケージ化したモバイルWi-Fiに加え、千葉ロッテマリーンズとコラボした千葉ロッテマリーンズフォン、サガン鳥栖モバイルなどを提供している。
木野氏は「DaiGoさんとのDXmobileも、堀江さんとのホリエモバイルも、ユーザーが自分にとって興味のある特典や魅力でプランを選べることが大きいのではないでしょうか。これまでの価格勝負から付加価値勝負へと変えていきたいと考えています」
大手キャリアや楽天モバイルが持つポイント付与による経済圏への対抗として、ホリエモバイルはユーザーにトークンを付与する特典も用意した。ブロックチェーンを活用したトークン発行型のクラウドファンディングサービス「FiNANCiE」で、HORIE MOBILEトークンを4月ごろに発行する予定だ。
フィナンシェは、FiNANCiEをはじめ、NFT事業などトークンを活用したコミュニティー、エコシステムの形成を支援する事業を展開している。同社は2月、国内第3事例目となる(企業やプロジェクトなどが発行した暗号資産に対して、暗号資産取引所が審査をした上で販売を行う)IEOとして、暗号資産FNCT(フィナンシェトークン)を販売。開始から1時間で調達目標金額を突破し、申込金額は200億円超を記録した。
今回の取り組みでは、利用者向けのポイントプログラムとして、FiNANCiEでHORIE MOBILEトークンを発行する。
木野社長は、「これまでの10年間、価格やスペックだけで勝負を続けていたものの、格安SIM・格安スマホの普及としては頭打ちだと感じたのがホリエモバイルを立ち上げた理由」だと話す。最大の課題は認知度の拡大だが、実際に成果はどの程度見込めるのか。
「以前からFCパートナーを募集しているのですが、堀江さんのYouTubeチャンネルで取り上げていただいてから、200件ほどの応募がありました」(木野社長)
木野社長によれば「MVNOの良ささえ訴求できれば、契約数が増える自信はある」という。堀江氏も「MVNOが、LCCのように手軽に使えることが広く認知されていない。そこが盲点だと思いました。今後、ホリエモバイルのようなサービスは他にも出てくるでしょうし、認知されることで一気に広がる可能性があります」と期待を寄せる。
実際、エックスモバイルのFCパートナー加盟数の増加を見ても、これまでの10年間では見られなかった成果が出ている。木野社長は意気込む。
「共同事業であるからこそ、堀江さんもポジティブに発信してくれる。効果としてとても大きいですね。私たちが地道に格安MVNOを普及させるのとは違うルートで、しかも“ひとっ飛び”で認知してもらえる。私たちが地上戦をやっているとしたら、堀江さんたちは“空中戦”。どちらでも攻めていきます」
ホリエモバイルは、MVNO市場に一石を投じられるか。
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