米シリコンバレー銀行(SVB)の経営破綻をきっかけに、クレディ・スイスのような金融業界の大物企業にまで信用不安が波及している。米国の金融当局は、本来1口座につき預金保険制度の補償額上限が25万ドルであるところを、3月までに破綻した各銀行の預金者に対しては半ば“超法規的”に全額補償することで、金融システムの機能不全を未然に防ぎたいようだ。
しかし、金利というリターンがついている以上、預金といえども元本が毀損(きそん)するリスクのある金融商品だ。米当局は金融システム全体の安定を維持する役割を担っているが、預金保険という既存の制度枠組みを超えてまで資産保護に走る点に問題はないのか。本記事では、各国の預金保険制度の違いと、今回のような特例措置による副作用についても解説したい。
まず金融機関が破綻したときに適用される預金保険制度について確認しよう。日本と米国の預金保険制度にはいくつかの違いが存在する。
日本では、普通預金や定期預金といった預金が保険対象となり、一定限度額まで保護される。これをペイオフ制度という。ペイオフ制度の限度額は、原則として「1金融機関につき元本1000万円と破綻日までの利息分」となっている。ただし、金利のつかない当座預金などについては、全ての預金が保護される。
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