アドビはさまざまな企業とともに、クリエイターが生み出すデジタルコンテンツの扱いに関して世界的な標準を構築するため、Content Authenticity Initiative(CAI)でのルールづくりを進めてきた。CAIは2019年に設立された業界団体だが、中でも重要なのが「コンテンツクレデンシャル」という2021年に発表されていた技術だ。
コンテンツクレデンシャルでは、著作物の帰属先としてSNSアカウントや仮想通貨ウォレットなどを結び付けることが可能になっている。
例えば、あるモデルを撮影したポートレイト写真と別のグラフィックスデザインを合成し、別のクリエイティブを作成したとしよう。新しいコンテンツを作ったクリエイターのサインはもちろん、元にした画像権利に関する情報も埋め込まれ、帰属先が明示されるといった具合だ。
やや発想が飛ぶかもしれないが、このような仕組みは楽曲の一部をループに再利用したり、リミックスで新たなイメージの楽曲に再制作するといった場合や、動画作品を元に再創作を行うといったジャンルでも活用できるだろう。
話が横道に逸れたが、こうした仕組みを、AIが生成するコンテンツにも引き継ぐ形にする。ある画像生成AIが作り出した、あるイラストを元に制作された画像は、生成したオペレーターのサインも入るが、その元になった学習データの帰属先も記されるというわけだ。
実際の運用や実装はこれからだ。今後、文章、イラスト、写真、それに動画や音楽など、さまざまなコンテンツの制作環境はAI時代に劇的に、今後も驚くような変化が続いていくだろう。その中で、海賊的なAI生成コンテンツから、商利用可能なビジネスのAI生成市場への変革の流れが強まることは間違いない。
そんな中で、アドビは自社サービス、市場環境、そしてクリエイター向けツールの面から先手を打とうとしている。
マイクロソフト、アドビの次はどこなのか。5月、グーグルは開発者向けイベントの「Google I/O」を開催する予定だ。
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