混沌極める「画像生成AIと権利問題」に光が差すか? アドビの緻密な戦略とは本田雅一の時事想々(1/5 ページ)

» 2023年03月31日 07時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 今年に入ってから、生成AIの話題が引きもきらない。

 2021年までのデータしか事前学習していないChatGPTを用い、貴重な国会で首相に質問して時間を浪費することすらニュースで話題になるほど、AIに関する話題は尽きない。

AIを既存サービスに次々と組み込むマイクロソフト

 数年前からこの技術に目をつけ、徹底的に自社製品に組み込んできた米マイクロソフトは、簡易開発環境、検索サービス、Webブラウザ、クラウドAPIの次に本命といえるMicrosoft 365にAI「Copilot(コパイロット)」を組み込んだ。さらには、そのColilotを自社セキュリティ製品と組み合わせてきた。

マイクロソフトがMicrosoft 365 Copilotを発表(画像はプレスリリースより)

 一大イノベーションが進行する中、マイクロソフトは毎週のように新製品を発表し続けている。その迫力は、かつてインターネット戦略で出遅れながらも一気に方向転換を果たしたWindows 95発売直後、あるいはネットワークサービスにアプリケーションが移行していく2000年代における同社のサーバ向けソリューションラッシュを想起させる。

 といっても、今やその時代を知る現役世代もごくわずかだろうか。

画像生成AIとクリエイターをつなげるアドビ

 そんなマイクロソフトと同時期に成長してきた米アドビもまた、別の切り口で生成AIのイノベーションに参加しようとしている。

アドビの画像生成AI「Adobe Firefly」で作成したイメージ画像

 彼らが取り組んでいるのはグラフィックデザイン、写真、イラスト、絵画などのクリエイター自身が、生成AIの“元ネタ”を積極的に提供することで対価を得られる仕組みの確立だ。

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