ベビー・子供服専門店「西松屋」が好調だ。
同店を経営する西松屋チェーンの2022年2月期の決算は売上高1630億円(前年同期比2.3%増)、経常利益129億円(同3.9%増)で、コロナ禍で少子化に拍車がかかっているにもかかわらず、増収増益となった。
23年2月期も、第3四半期(22年3〜11月)までは、売上高1304億円(前年同期比4.4%増)と、売り上げが伸びている。仕入原価の高騰により経常利益109億円(同3.0%減)と、利益面で微減になっているのは仕方ないところ。
また、第4四半期(22年12月〜23年2月)も、既存店売上高が100.1%と微増している。通期で過去最高の売り上げになるのは確実だ。店舗数は、1067店(23年2月20日現在)。
西松屋は東証プライムに上場しているが、初めて上場したのは1997年7月の店頭公開。それ以降、同社は一度も売り上げが前年を下回ったことがない。つまり、少子高齢化が進んで、ベビー・子供服や関連用品を販売する企業にしてみれば、年々厳しい環境に追い込まれているはずなのに、20年以上も成長を続けているのである。
その間は失われた20年とも30年ともいわれており、長期の平成不況も含まれている。
日本政府統計ポータルサイト「e-Stat」によれば、1997年の日本の出生数は119万人。その後も出生数は減り続けて、2016年には98万人と初めて100万人を切った。コロナ前の19年には87万人と90万人を割り込み、20年84万人、21年は81万人と統計を取り始めてからの過去最低を更新している。
矢野経済研究所の発表によれば、19年のベビー・子供服の国内小売の市場規模は、9140億円で前年比0.5%減だった。5年前の14年は9223億円だったから、微減している。少子化により、子供1人当たりに使う金額は増えているといわれるが、ベビー・子供服の市場はやはり縮小傾向にあり、成長しているとは言い難い。
限られたパイの奪い合いの様相を呈している、ベビー・子供服、用品で、西松屋はなぜ驚異の右肩上がりの成長を遂げているのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング