日本では現在、農業従事者の高齢化などにより、長期間耕作されていない遊休農地が増加している。千葉市も同様で、遊休農地の現状を把握するための調査を毎年実施してきた。しかしこの調査は、職員などが点在する農地に直接出向き、現場を確認。情報の入力や調査資料・地図の作成に膨大な労力がかかる上、紙媒体での管理方法が多数を占めていた。
そこで千葉市農業委員会は、衛星データを解析し、AIにより農地の耕作状況を判別するアプリ「ACTABA(アクタバ)」の導入を決定。関東での導入は千葉市が初となる。
同アプリは、兵庫県発のスタートアップ企業サグリが開発した。衛星が取得した農地の画像データをもとに、AIが荒廃状況を自動判定。耕作が放棄されている疑い(耕作放棄地率)の高い農地を、数値で表示する。この数値をもとに農地画像を段階的に着色することで、現場に赴かずとも視覚的に遊休農地の状況を確認することが可能となる。AIは農地情報の判定を繰り返すことで学習するため、利用を重ねるほど判定精度が高くなるという。
AIの判定確率から実際に現場での調査を必要とする農地のみに絞り込むことで、現地調査にかかる労力を大幅に削減する。加えて分析や調査情報も、アプリの地図データ上で管理することが可能だ。
担当者によれば、アプリのセットアップは完了。現在は利用に向けて、農地の状況に応じたコード設定や、どの程度の荒れ地を遊休農地と定義するかなど、細かな条件設定を行っているという。
その他、AIと人間の判定に差異が発生した場合にどう判断するかなどの対応についても検討を進めている。「7月中旬頃の導入開始を目指しているが、いきなり全て切り替えるのではなく、状況に応じてこれまでの調査方法も併用していく」(担当者)としている。
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