グリーンビーンズの立ち上げは、25年度までの中期経営計画(21年4月発表)に盛り込んだデジタルシフトの施策の一環。デジタル事業を手掛けるために設立した子会社イオンネクストがグリーンビーンズを運営する。
デジタルを全面に押し出したネットスーパー立ち上げの背景には、国内外やイオンの事情が絡んでいる。国勢調査などから作成した同社の発表資料によると、日本の消費支出に占める食の割合は約3割の90兆円。金額ベースで見れば、日本の食市場は大きい一方、オンライン比率はわずか4%にとどまる。米国の13%、中国の15%と比較すると約3分の1程度だ。
だが、25年には、1981年から96年ごろに生まれたデジタルネイティブの世代を指す「ミレニアム世代」が日本国内の労働人口の半数を占めるとの試算が出ており、オンライン比率が今後、高まる可能性がある。イオンは伸びしろがある分野での事業を強化することで、小売り業界内での存在感を高める狙いだ。
グリーンビーンズは、イオンの弱点を補う“ラストピース”にもなる可能性を秘めている。イオンはこれまで、地方にイオンモールのような大型店舗を出店することで売り上げを拡大してきた。一方で、高額な地価やスペースの問題で東京都内など都市部での出店は苦手としてきた。
吉田社長もその点は認めており、グリーンビーンズの立ち上げで「東京23区全てをカバーできるようになる」と話す。同社は「まいばすけっと」のような小型店舗を展開し、弱点のカバーには努めていたものの、取り扱い商品数に限界があった。
加えて以前から、既存店舗を活用した店舗出荷型のネットスーパーも展開しているが「都心での店舗出荷型の店舗数が極めて少なく、ほとんどカバーできていない」と吉田社長。1都3県のような都市部の攻略は、イオンにとって長年の悲願でもあるのだ。
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