もし江ノ電が「利用者にとって分かりやすい時刻表」を優先するならば、運行間隔をもう1分あけると15分間隔になる。藤沢駅発車時刻は00分、15分、30分、45分で、これで日中を統一できる。ただし、12分ダイヤに比べて2割の削減だ。ここまで運行本数を減らすと利用者の需要に応えられない。分かりやすさと輸送量を天秤にかけて輸送量を取った。14分間隔ダイヤはギリギリのせめぎ合いの中で生まれた苦心のダイヤだ。
ところで、東京メトロは3月30日に「4月29日から銀座線を増発する」と発表した。日中の運行間隔を5分から4分にする。JRや大手私鉄の主要路線も減便ダイヤを復調させる動きがある。江ノ電の利用者数も回復するかもしれない。しかし、路面区間の現状を見ると、12分間隔には戻れそうもない。せめて自動車に対して「許可車両のみ通行可」としたいところだ。これは街ぐるみの合意が必要不可欠だ。
江ノ電は「今後の生活スタイルは、コロナ禍前の水準には戻らないと考えておりますが、ご利用動向や社会情勢を考慮し、検討する場合がございます」という。良い方向で検討する場合は、ぜひ沿線の人々や行政も応援してほしい。江ノ電は「減便しても車両数は減らさない」という。まだ元に戻せる段階だ。12分ダイヤの復活を期待しよう。
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてパソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICETHREETREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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