「ステークホルダーツーリズム」の必要性を受け、同社は「連泊」の推進を目指している。観光産業が排出するCO2の半分が交通によるものだが、日本は世界各国に比べて泊数が少ない。連泊を増やすことで、交通によるCO2を削減する狙いだ。
「日本人は海外旅行では連泊しているため、これは私たち観光地側の課題です。国内で3泊4泊と連泊しても楽しめる工夫を作っていく必要があります」(星野代表)
同社は4月1日から、「星野リゾート 西表島ホテル」(沖縄県竹富町)の宿泊予約を2泊以上の滞在に限定している。マングローブ林やジャングルといった西表島の豊かな自然、イリオモテヤマネコをはじめとする希少な固有種などを保護していく。
西表島は観光産業が盛んで19年には年間約29万人が来島している一方、その多くは石垣島からの日帰り観光旅行者だ。15年時点の宿泊率は約22%で、一部のエリアへの利用者の集中によって、オーバーツーリズムが懸念されていた。
同社はコロナ禍前から連泊を優遇するサービスを投入し、予約の比率を変えてきた。西表島ホテルの顧客満足度データによると、2泊以上の滞在は1泊よりも満足度が高いことが分かった。
「連泊してもらうと中日ができるので、地域地方のさまざまなところにお金が落ちるようになります。滞在時間が増えることでアクティビティーの体験や、地域の飲食店での食事ができ、地域らしさを感じられるため、満足度が向上することも分かっています」(星野代表)
西表島ホテルと同様の取り組みは、日本全国の観光地での展開も見込んでいる。「短期的にはいろいろなハレーションがあるかもしれないが、長期的に見たら日本の観光を変えることにつながる」(星野代表)
「連泊の取り組みは、地域、コミュニティ、環境、そして顧客の満足に影響する、コロナ前とは違う新しい観光の形になると考えています。今後は全国で展開していきたいです」(星野代表)
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