電車や観光地で多くの外国人観光客を見かけるようになった。新型コロナウイルスの位置付けが5月8日に「5類」に移行するのに伴い、今後さらなる観光需要の高まりが予想される。
多くの企業や自治体で「コロナ前に戻そう!」という動きが強まっているが、星野リゾートの星野佳路代表は「コロナ前の2019年に戻すのではなく、新しい観光を目指すべきだ」と話す。星野リゾートが目指す、新しい観光の姿とは――。
観光業界は、新型コロナウイルスの流行によって言わずもがな大きな打撃を受けた。インバウンドが激減し、アウトバウンド(出国日本人旅行者)が国内での旅行にシフトした。
「アフターコロナでは、インバウンドが戻ってくる代わりにアウトバウンドを若干失うことにつながります。コロナ禍でのアウトバウンドの市場は、肌感覚ですが5兆円以上あったのではないかと考えています」(星野代表)
ポストコロナの今、実際に東京や大阪、京都などの大都市を中心にインバウンドが戻ってきた。星野代表は「肌感覚として、コロナ前の5〜8割くらい」だと説明する。
対してアウトバウンドの戻りは現状遅い。これは、日本のコロナに対する意識もあるが、「円安」の影響で海外旅行の価格が高騰している影響が大きいという。
コロナ禍で経済活動がストップし、観光需要が激減し、多くの事業者が苦戦をした一方で、観光地では良いこともあった。空気がきれいになったり、海岸がきれいになったり、水質が改善したり――。
これを受け、世界各国では「コロナ前に戻していいのか」という議論が盛んに行われている。星野代表は、19年時点の観光に戻すのではなく、新しい観光の形を模索する「ステークホルダーツーリズム」の考え方が、今後重要になると話す。
「各観光地、各自治体はコロナ前に戻ろうとしていますが、そこだけを目指していては世界に置いていかれてしまうかもしれません」(星野代表)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング