日本国内のサーキットを転戦する耐久レース、スーパー耐久選手権は、市販車ベースのツーリングカーで競われるが、2021年から市販予定の開発車両の参戦も認められるようになり、国内の自動車メーカーが次世代燃料を採用したマシンで参戦している。
水素エンジンを搭載したトヨタのGRカローラと並んで、CNFを採用したマシンが参戦しているのだ。またマツダはバイオディーゼル燃料(こちらも広義ではCNFであるが、現時点では分けたほうがよさそうだ)を採用したディーゼルエンジンでマシンを走らせている。
マツダが使用しているのはユーグレナ社が開発したバイオ燃料「サステナ」だ。これは揚油などの廃食油をベースに精製して燃料油としているもので、自然着火する油であれば燃料として利用できるディーゼルエンジンの基本特性をうまく利用している。
微細藻類のユーグレナ(学術名ミドリムシ)から抽出した油脂も使われているらしいが、その割合はわずか1%程度で、現在の状態からするととても実用になるとは思えないものだ。
マツダがスーパー耐久のマシン、MAZDA3に採用しているサステナと、その原料であるユーグレナから採取した油脂、廃食油。廃食油は従来から飼料などに使われており、最近は航空機用のバイオ燃料SAFの原料ともなっており、取引価格が高騰している(出典:マツダ)
ユーグレナ自体は化粧品や健康食品用の原料として、すでに収益ベースにのっている。微細藻類培養のエキスパートであるユーグレナ社には、より油が採取できる藻類の培養に乗り出してほしいと思うのは筆者だけではあるまい。
なぜなら航空機で採用が進んでいるSAF(サステナブル・エアクラフト・フューエル=持続可能な航空機燃料)と原料で競合しており、SAFの影響で廃食油の相場(飼料用など従来から需要があった)が数倍に上昇してしまっているのが現状で、とても将来的に航空機やクルマの燃料として十分な量を確保できるわけがないのだ。
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