近年では、人気商品の転売を抑制するため、クレジットカードなどを使って個人を特定し、「1人〇個まで」などとする方法もあるでしょう。しかし、商品の価格が安い、大量の販売がある、子供が購入する……などの条件が付くと、どんどん厳しくなっていくでしょう。
悪質な転売への最も有効な対策と考えられるのは、人気商品の高値販売の舞台となっているプラットフォームの運営者による取り締まりです。しかし、フリマアプリやネットオークションなどの取引時の手数料収入のことを考えると、運営者に転売の積極的な取り締まりを求めるのは難しいでしょう。利益の圧迫を意味するからです。
新型コロナウイルスの感染拡大で一時期実施されたマスクの取り締まりのように、法的な根拠があれば、プラットフォーム運営者も即座に対応はするでしょう。しかし、取引が活発になるほど理想ですし、自由な取引を拘束したくないというのが本音と言えます。また公的機関などに問い合わせても、「高値の商品は、無理に買わないでほしい」と答えざるを得ないのです。
新商品が、即日売り切れてネットで高値で取引されている異常な状況を望まないのは、消費者もそうですが、メーカーも同じでしょう。それこそコストを費やして大事に育ててきたのに、第三者によって“食い物”にされているのですから。
もちろんそんな事情は、消費者には関係ありません。結果論として、消費者がメーカーを批判するのは仕方のない一面もありますが、ここまでの状況になると、責任をメーカーや販売店に負わせてしまうのも、酷な状況ではないでしょうか。
どこか意見を言いやすい場所にするにしても、厳しい言葉をただならべて批判するのが果たして妥当なのか。そして今の法は消費者を本当に保護しているのか。何より現状にとって妥当なのか。そうしたことも含めて、熟考することも大切だと思うのです。
ゲーム、アニメ、マンガなどを主戦場にするフリーランスのサブカルライター。ヤフーオーサー、マンガ大賞選考員。メディア所属時には、決算会見や各発表会に参加し、独自記事なども執筆。20年以上ゲーム業界を中心に取材している。2020年5月、「ドラゴンクエスト」大ヒット連発なぜ? 30年前の伝説の熱狂」でヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞した。「文春オンライン」や「Number Web」(ともに文藝春秋社)などでも記事を執筆。静岡放送などでラジオに出演することも。
ヤフーニュース個人:「河村鳴紘のエンタメ考察記」
Twitter:@kawamurameikou
note:河村鳴紘
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