この記事は、Yahoo!ニュース個人に4月15日に掲載された「ポケモンカードもターゲット なぜメーカーは転売を防止できないのか」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
ゲームやアニメなどで大人気の「ポケモン」のトレーディングカードが14日に発売されると、大手家電量販店に長い列ができて品切れになったこと、同時にネットで商品を自由に売買できる「フリーマーケット」で、レアなカードが高額価格になっていることが、各メディアで報じられました。なぜこんなことが起きるのでしょうか。
人気商品の発売当日に列ができ、希望小売価格や定価、実勢価格を大きく上回る高値で取引されるのは、今に始まったことではなく、スニーカーや玩具、プラモデル、ゲーム機など挙げていけばキリがありません。
近年、ネットで人気の新商品が高値になる背景について、ネットのフリマアプリの存在があると考えるのは、皆さんも同じでしょう。誰もが気軽に使え、買い手を見つけるのが容易だからです。とても便利なものですが、売り切れ状態の新商品が異常な高値で売られるのを見て、違和感と嫌悪感を覚える人は多いはずです。
そこでよく指摘されるのが、メーカーは転売の対策をするべき……という意見なのですが、今の法ではメーカーが動くのは、難しいのです。
まず大前提として、値段を決めるのは、売り手の自由だからです。
メーカーが指定した価格で販売しない小売業者等に対して、卸価格を高くしたり、出荷を停止したりして、小売業者等に指定した価格を守らせることを「再販売価格の拘束」といいます。
【公正取引委員会】独占禁止法が規制する行為 不公正な取引方法(再販売価格の拘束)
力のあるメーカーが、価格を拘束しないようにしているのです。そして売り手側が「価格を決める自由がある」ということは、高くもできるということ。なぜそれを許容しているかといえば、競争によって高い商品は市場から淘汰されるはず……という考えがあるからです。しかし今では、インターネットという市場が登場し、人気商品を買い占めて、価格をつり上げるという、当時は予想しなかったであろう状態になっています。
なお転売は、繰り返し行うとビジネスになる可能性もあり、古物商許可の申請が必要になるケースもあります。ただし、商品を開封せずに新品のまま売れば、古物商許可は不要という見解もあるようで、取材をしても複雑に感じるところ。法的な解釈もからむため、話がややこしくなります。
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