政府は経済団体に、「オワハラ」(就活終われハラスメント)をやめるよう要請しました。毎日新聞は「オワハラ防止、政府が経済団体に要請 『学生の弱みに付け込む』行為」と題した4月10日の記事の中で「オワハラは職業選択の自由を妨げる」とその理由について報じています。
ネットではオワハラに対して「ブラックだ」「強迫し放題」「勝手すぎる」など非難する声が多く見られました。オワハラが社会問題として広く認知され、流行語大賞にノミネートされたのは2015年のこと。それから8年の歳月を経てもなお、なぜオワハラはなくならないのでしょうか。
会社がオワハラをする背景には、如何ともしがたい大きく3つの事情があります。
1つは、人事の採用担当者が新卒採用人数の数字目標を抱えていることです。「今年は20人採用」など会社から目標人数を設定されると、採用担当者はその数字を達成するためにあらゆる手を尽くします。
また、採用の目標人数は4月からの事業運営に必要な人員の頭数に組み入れられています。配属予定の部署は新卒社員が入社することを見越して活動計画を立てているため、内定辞退者が出て採用人数が目標に到達しなければどこかの部門で欠員が生じます。すると、その部門の目標達成はもちろん、会社全体の事業計画にも影響を及ぼしかねません。結果、採用担当者は人数を予定通り確保できなかった責任を問われることになります。
次に、新卒採用にそれなりのコストが発生するという事情もあります。求人広告費、パンフレットなどのツール作成費、面接会場の利用費に加え、採用担当者の人件費などもかかります。また、各部門の代表者に選考を手伝ってもらった場合、その分の人件費も発生します。
会社によって差はあるものの、通常一人当たりの採用コストを算出すると、数十万円からそれ以上です。そこに内定辞退者が出てしまうと採用活動のやり直しで追加の費用が発生し、一人当たりの採用コストはさらに上昇することになります。
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