決算書から日本経済を読み解く本連載。今回は業界4位のコンビニチェーンを運営するミニストップを取り上げていきます。同社はイートインや店内調理を強みとしてきましたが、各社の商品力が高まる中で苦境に立たされています。また、2019年におにぎりの本体価格を100円に統一し、話題を呼びましたが、22年9月に終了しました。
一方、直近の23年2月期では、売り上げを大きく減らしながら6期ぶりの純利益黒字化を達成しています。決算書を見ながら、同社の状況と展望を見ていきましょう。
まずはここ数年の業績推移から見ていきましょう。売上高はどんな推移を見せているでしょうか。
同社の売り上げは、コロナ禍の影響が出た21年2月期に大きく悪化しています。もう少し振り返ると、18年2月期をピークに下落しており、コロナ以前から不調に陥っていたことが分かります。
営業利益は、売り上げのピークだった18年2月期でも1000万円とわずかにとどまっており、19年2月期からは赤字が継続しています。特にコロナ禍が直撃した21年2月期は55.3億円と非常に大きな赤字を計上しています。
純利益はどうでしょうか。こちらは、売り上げのピークである18年2月期から22年2月期まで赤字が継続しています。
コンビニ各社は大きな過渡期を迎えています。コロナの影響でオフィスなど都心部の需要が減少したあおりを受けました。また、各社の店舗網拡大によって国内市場が飽和しつつあることから、不採算店舗の撤退を進めるなど、収益性を改善しています。
コンビニは各社ともFC(フランチャイズ)中心の事業展開であり、FC店をどれだけ獲得できるかが、業績向上において重要な要素です。FC店舗側の視点では、ミニストップは大手3社にブランド力が大きく劣ることから、なかなか選ばれにくいチェーンと考えられます。加えて、業績不振が続く近年はさらにFC店の獲得が難しくなっているはずです。
ミニストップといえば、以前からイートインに力を入れています。ソフトクリームを中心としたファストフードの販売や、店舗によっては総菜なども取り扱っていて、店内調理に大きな特徴があります。
しかし、近年は他社もイートインを拡充しています。店内調理以外の商品も質が上がったことで、ミニストップの強みを生かしにくくなっているのかもしれません。
さて、ここからは直近の業績を詳しく見ていきます。売上高は前期比55.7%減となる812.8億円。一方で営業利益は10.3億円の赤字、経常利益は1.4億円の赤字とそれぞれ前期から改善を見せています。純利益は、前期の38.6億円から6期ぶりの黒字に転換して128.3億円を計上しました。
売り上げが大きく減少した一方で、なぜ純利益を黒字化できたのでしょうか。
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