脱炭素の実現に向けた取り組みの多くは企業によるものですが、個人の環境意識が高まるにつれ、消費者の間にも日常生活を通じて環境保護に貢献したいと考える人が増えています。自身の行動が及ぼす環境負荷を把握して、環境に良い行動に繋げたいと考える消費者を、金融技術を活用してサポートする「グリーンフィンテック」が注目されています。
特に、1990年代以降に生まれたデジタル・ネイティブ世代は、早くからフィンテック・サービスに親しみ、スマホを使った手軽で便利な取り引きを好む傾向があるとされます。同時に、この世代は環境保護や社会課題への意識が高く、学校教育でもSDGsを学習したSDGsネイティブ世代でもあるのです。このようなデジタルおよびSDGsネイティブ世代が消費市場の主役となる時代を迎え、消費者が手軽に脱炭素や環境保護への貢献を意識できるアプリなどの金融サービスを提供する企業が台頭しています。
例えば、デビットカードと家計簿アプリを連動させ、食費や交通費などの項目別にCO2排出量を可視化するサービスなどが開発されています。このようなグリーンフィンテックは、環境関連の情報開示の充実によりフィンテック事業を開発しやすい欧州が先行していますが、最近では日本でも同様のサービスが登場し始めています。そこで本稿では、国内外の具体的なサービスを見ながら、今後のグリーンフィンテックの可能性や課題を探ってみたいと思います。
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