「これ以上耐えられない」と減便 沖縄の路線バス運転手が210人減る原油高騰とコロナ禍でダブルパンチ

» 2023年05月09日 10時44分 公開
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 路線バスの運転手不足が深刻化している。県バス協会の集計によると、本島を走る路線バス(琉球バス交通、沖縄バス、那覇バス、東陽バスの4社)の運転手は、コロナ禍前の2019年度に比べ210人減っている。約3年にわたる新型コロナウイルス感染拡大の影響で路線バスの需要減退に伴う減便や、運転手の高齢化と若年者のなり手不足が同時に進んでいることが要因だ。協会はコロナ禍前の運行本数に戻した際に運転手不足が表面化することを危惧し、県に対して支援を求めている。(政経部・國吉匠)

駐車場で待機する路線バス=4日、豊見城市(名護大輝撮影)

 集計では、運転手の高齢化と若年者のなり手不足が浮き彫りになった。現在働いている運転手を年代別にみると、50〜60代が約70%と最も多い。30〜40代は25%で、20代は2%ほど。若年者のなり手が先細りする状態が続けば、公共交通機関として立ち行かない深刻な事態を招きかねない。

 バス会社では、従来のダイヤを運行するのに十分な運転手を確保できないことなどから、路線を減らして対応している。

 小川吾吉会長は「基幹的交通手段として極力減便などを最少にするなど努力してきたが、これ以上耐えられない」と吐露する。4月27日には県に人手不足解消のための支援を要請。(1)大型2種免許取得期間の人件費の補助を含めた支援(2)県内にある職業能力開発校自動車科で、大型2種免許取得コースの新設や奨学金給付による学生への支援(3)連結バス・EV2階建てバスの導入可能性の調査実施――の3項目を求めた。

 バス会社も手をこまねいているわけではない。担い手不足から脱却しようと県や那覇市のハローワークと連携し、運転手講習セミナーを年に3回開催している。このほか、女性が働きやすい環境を整えようと、女性部会も発足した。

 小川会長は「コロナ禍によって路線バス事業の運送収入は3割減り、原油高騰に伴う燃料費の増大でダブルパンチを受けた状態」とバス会社の厳しい実態を説明。その上で「このまま運転手不足が進めば今後、さらなる減便で対応するしかなくなる。県に対し、国とも連携した支援策を求めたい」と訴えている。

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