「東京ミッドタウン八重洲」から変わる東京駅前 “開かれた”施設が街に何をもたらすかオフィスは満床(2/5 ページ)

» 2023年05月24日 08時00分 公開
[加納由希絵ITmedia]

“開かれた街”へ、ミクストユース型の新施設

「東京ミッドタウン八重洲」(三井不動産提供)

 東京ミッドタウン八重洲は、同社が都心部で開発するミクストユース型施設「東京ミッドタウン」ブランドとして3つ目の施設。2007年に開業した「東京ミッドタウン」(六本木)、18年に開業した「東京ミッドタウン日比谷」に続く大型施設で、ブランド全体のビジョン「『JAPAN VALUE(新しい価値・感性・才能)』を世界に発信しつづける街」を共通の提供価値として掲げている。

 一方、同ブランドでは「土地ごとに施設の在り方を変える」ことも重視している。八重洲では「Centrality」「Open Mind」「Harmony」の3つを独自の提供価値として掲げた。これらは、八重洲エリアの街の特性を反映したものだ。

 Centralityは、東京駅前という突出した交通利便性から「“世界への出発点”となる街」という意味が込められている。一方、Open Mindに込められた意図は、八重洲の歴史的な特性が背景にある。

 同社ビルディング事業三部 事業グループの山口周平氏はその背景について、「(東京駅を挟んで反対側の)丸の内エリアはかつて武家屋敷が並んでいた街で、その後も経済の中心地となりました。しかし、オフィスの賃料も高かったため、地方から東京に進出してきた企業が八重洲側にオフィスを構えるケースも多かったのです」と説明する。

1階エントランスには、西陣織のテキスタイルとデジタルアートを融合させたゲート「Nishijin Reflected」を設置(筆者撮影)

 そういった地方企業のいくつかが、今では世界的企業に成長している。その歴史から、八重洲を挑戦や成長の機会があふれる“開かれた街”と捉えているのだ。

 そして、そのような特性によって多様な人や物が集まり、重なり合うことがHarmonyという価値につながる。

 「新施設は、日本初進出の『ブルガリホテル』などこれまでになかったものを取り入れ、一方で再開発前からあった区立小学校を校舎新設という形で残しています。よりいろいろなものが混ざり合うことで、新しい価値が生まれる場所なのです」と山口氏は話す。従来の複合施設よりもさらにミクストユースが加速した拠点として、独自の価値を生み出すことが期待されている。

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