コロナ禍が落ち着き、外出する機会が増えています。皆さんもお出かけすることが多くなったのではないでしょうか。これに伴って、検索や投稿が増えているのが「スマートロック」です。センサーやスマートフォンで開錠でき、鍵を持つ必要がありません。
とても便利なスマートロックですが、2015年に登場した際はガジェットのファンなど新しいモノ好きにしか興味を持ってもらえませんでした。それがここに来て、一気に関心の高まりを見せています。なぜでしょうか。この現象には、マーケティングのエッセンスが詰まっています。ぜひ一緒に考えていきましょう。
マーケティングでは、「顧客価値の創造が大事だ」とよくいわれます。しかし、顧客価値を理解するのは結構難しいものです。顧客が本当に欲しいものは何か。このことを考える必要があります。
マーケティングで有名な言葉の一つに、「ドリルを買う人が欲しいのは『穴』である」というものがあります。ドリルを買いに来たお客さまは、ドリルそのものが欲しいのではなく、ドリルを使って穴を開けたいのです。この視点は、ポストコロナにおけるスマートロックの人気を理解するのに役立ちます。
今、スマートロックは子育て世代に広まっています。働く親御さんは子どもに合鍵を持たせることが多いですが、鍵をなくさないか、帰宅後に施錠しているかなど、心配も絶えません。こうした親御さんにとって、スマートロックは素晴らしい価値を提供してくれるのです。
彼らがスマートロックに魅力を感じているのは、最新テクノロジーを搭載した鍵ということではありません。「合鍵が不要になる」「子どもが帰宅したら通知が来る」──。彼らが本当に欲しいと思ったのは、スマートロックを取り付けることで得られるこうした便益があるからです。
さらにいうと、これらの先にある「心配から解放される」という情緒的な便益を欲しているのです。外出の機会が増えたことで、こうした便益の価値がさらに高くなっています。
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