企業の光熱費、8割で増加 最も増加額が大きい業界は?

» 2023年05月30日 11時40分 公開
[らいらITmedia]

 帝国データバンク(東京都港区)は、エネルギー料金値上げに伴う企業の光熱費の実態を調査した。2022年度は21年度と比較して8割の企業で増加し、平均増加額は年間50万円となった。

 光熱費の増加幅別にみると、前年度比「20%未満の増加」が44.3%で最も多く、次いで「20〜80%未満の増加」が30.7%だった。「前年度並み」または「減少」した企業は合わせて約2割だった。

photo 光熱費が増加した企業の割合

 業種別に見ると、光熱費が増加した割合が最も大きかったのは小売業(85.2%)で、1社当たり年間で約186万円増加した。飲料や食品の冷蔵・冷凍陳列に加え、店内照明など、電力を多く消費するためと考えられる。

 卸売業や倉庫などの運輸・通信業が続き、保存・保管で電力を多く消費する業態で光熱費の増加が目立った。1社当たりの増加額では、小売業に次いでサービス業で多く、増加額は約66.5万円だった。パチンコホールなどの娯楽業や、旅館・ホテルなどの宿泊業で、大幅に増加した。

photo 業種別、光熱費の増加割合と増加額

 地域別にみると、光熱費が増加した企業の割合が8割以上だったのは、近畿と九州を除く7地域に上った。東北は全地域で最も多い84.5%の企業で光熱費が増加した。

  一方で、光熱費の増加額は地域によって格差が見られた。増加額が最も高い地域は北海道であり、1社平均で約62.0万円増加した。特に冬季間の空調維持のための電気・ガス代の上昇が大きく響いた。最も低かったのは関東で42.5万円増にとどまり、最も増加額が大きい北海道とは19.5万円の差があった。

photo 地域別、光熱費の増加割合

 企業は原材料価格の高騰に伴って製品やサービスの価格を上昇させている一方で、半数以上は電気料金の上昇分を価格に転嫁できていない。国内電気料金は6月以降、14〜42%の値上げが相次いで実施される。政府による電気・ガス代負担軽減策など時限的な支援もあるものの、企業負担は更に重たくなる可能性がある。

 調査は4月までに22年度決算が判明し、21年度の業績と比較可能な企業約3万8000社を対象とした。

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