友達がやってるカフェを着想したきっかけは、ある社員の一言だった。
「社員旅行中に『近くに友達がやってるカフェがあるんで、寄っていきませんか?』といわれて、なんかうらやましいなあと思ったんです」(明円さん)
日本では「お客さまは神様である」という文化が根強い。友達がやってるカフェでは、「利用者と店舗側の目線を等しくした時に、どんな体験が生まれるのか」ということを実験している。
「日本の接客、飲食店のサービスは本当に素晴らしく、完璧だと思っています。だからこそ、それがラフになり、友達の接客になったら、新しい切り口になると考えました。日本だからできるコンセプトです」(明円さん)
「普通なら良いサービスをされればされるほどうれしいもの。友達がやってるカフェでは、雑にされればされるほどうれしくなっちゃう――という逆のベクトルでの接客・顧客体験を提供しています」(明円さん)
実際に運営してみると、客が店舗側を思いやり、気を遣う行動が見られたという。
「友達がやっているカフェのユニークなところは、『お客さんの体験が変わる』ということ。混雑時に『席開けるよ』『私が席をつめたら他の人も座れるよね』という風に、友達だから優しさが生まれるんです」(明円さん)
公式Instagramでは、時間帯ごとの客数をグラフで公開。「この時間帯は暇で困っているよ」と伝えることで、友達(客)はすいている時間を選んでくれるそうだ。
昨今は利用客が書き込んだ「レビュー」が重視される傾向がある。レビューは利用客がある種一方的に書くもので、飲食店側では消すことができない。「一方的なレビューに基づいて店の総合評価が星の数で決まってしまうのは、お客さまと飲食店の関係がフェアじゃありません」(明円さん)
「完璧なサービスを提供しているからこそ、少しでも気になる部分があった場合に低評価が付いてしまうのではないでしょうか? 友達がやってるカフェは『サービスが雑』という期待値調整をしています。待たせてしまっても、メニュー間違えてしまっても友達だから、謝りつつ許してもらうことができる――『Because I'm your friend(友達なんだから許して)』というコピーがコンセプトです」(明円さん)
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