「え、久しぶりじゃん」 店員がタメ口の「友達カフェ」が、どんどん新しい客を呼び込めるワケ(1/2 ページ)

» 2023年06月05日 08時00分 公開
[大村果歩ITmedia]

 「え、久しぶりじゃん」「やっほー」――店に入った瞬間に、そんな声が聞こえる不思議なカフェが東京・原宿にオープンした。「友達がやってるカフェ/バー」では、店員が全員タメ口で、友達を演じながら接客する。店員は全員、役者やモデルなど。客は友達のバイト先に遊びに行っているような感覚を楽しめる。

カフェ 店員がタメ口の「友達カフェ」が、どんどん新しい客を呼び込めるワケ(提供:友達がやってるカフェ/バー、以下同)

 オープン当初からSNSでは「新鮮!」「楽しすぎた」などと話題に。Creative Group(東京都千代田区)の調査では「2023年上半期のZ世代トレンドランキング(モノ・コト部門)」で1位を獲得した。

 友達がやってるカフェは、店舗での接客だけではなく、客がSNSに投稿する口コミも面白い。一般的な飲食店では、料理や店の外観の画像が多く投稿されるが、友達がやってるカフェの口コミをみると「店員の接客動画」がずらりと並ぶ。中には、TikTokで360万回以上再生されている動画も出ている。

 プロデュースを手掛けたkakeruの明円卓代表は「友達がやってるカフェはお客さまのSNS投稿が他の飲食店とは違います。それが、新しいお客さまの獲得につながります」と話す。一体どういうことなのか。

なぜ、新しいお客さまの獲得につながるのか

 友達がやってるカフェでは「リピーター」は重視していない。「よくリピーターを増やせといいますが、そんなことは考えなくてもいいんじゃないかと。日本にはたくさんの人がいて、一人1回来てくれたら全然やっていけます。もちろん継続は大切ですが、繰り返し同じ人に来店してもらう必要はありません」(明円さん)

カフェ 明円さんは、重要なのは「新しい人に絶えず思い出し続けてもらうこと」と指摘する

 重要なのは「まだ来店していない新規顧客に絶えず思い出し続けてもらうこと」だ。飲食店にとって、利用者がSNSに投稿するコンテンツは非常に重要となる。友達がやってるカフェでは、この「利用者のSNS投稿」に強みがある。

 「一般的な飲食店では、利用者がSNSに投稿するのは、看板メニューか内装、外装など……全部一緒です。Instagramで検索すると、同じような画像しか出てきません。友達がやってるカフェでは、お客さまは『店員の接客』をSNSに投稿します。毎回違う接客を提供しているので、毎日新しい投稿が公開されます。お客さまの投稿がコンスタントにバズり、何百万再生を記録することで、友達がやってるカフェを新しく知る人が継続的に生まれるのです」(明円さん)

 SNSに投稿したくなるように、店員の演技は工夫にあふれている。従業員は演技経験がある人、エンタメ業界で活動している人に限定。研修やマニュアルは用意せず、「友達のバイト先に行ったときにどうなるか」をシミュレーションし、ロールプレイングを重ねている。

 従業員は毎日営業後に「こういう時はどういう返答をすればいいのか」など互いにフィードバックをして、接客をアップデート。同じ接客は一度もないという。

 また「友達がやってるカフェの面白さは、客も演技をしなくてはいけない、という部分にある」と明円さん。客が演技をしやすくなるように、メニューの名称に工夫も施す。ドリップコーヒーは「大変そうだから、すぐ出せるので大丈夫だよ」、クリームソーダは「店員さんの間で一番人気なのってどれ?」、カフェラテは「たしかラテ美味しかったよね?」――自然とメニューが読み上げるだけで会話が成立する「セリフ式のメニュー」を採用した。

カフェ 客が演技をしやすくなるように、メニューの名称に工夫
カフェ カフェラテのメニュー名は「たしかラテ美味しかったよね?」
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