クルマはどう進化する? 新車から読み解く業界動向

世界はマルチパスウェイに舵を切った! 「BEVはオワコン」という話ではない池田直渡「週刊モータージャーナル」(1/4 ページ)

» 2023年06月05日 08時57分 公開
[池田直渡ITmedia]

 このところ、自動車業界では大きなニュースが次々と届いている。ほんの少し前まで、電気自動車だけが唯一絶対のソリューションであり、「世界はEV化に舵(かじ)を切った」という言葉が合言葉のように言われていたのだが、見る見るうちに様子が変わっている。

 4つのニュースを時系列に並べてみよう。

スーパー耐久第2戦富士24時間レースに、液体水素による水素内燃エンジンでチャレンジする「#32 ORC ROOKIE GR Corolla H2 Concept」(水素エンジンカローラ)

マルチパスウェイに舵を切る

 最初は、日本自動車工業会が4月4日に発表したリリースだ。リリースを抜粋する。

世界中の自動車メーカーにとって、道路交通の脱炭素化は共通の目標であり、その実現に向けた取り組みが行われています。しかしながら、OICA(国際自動車工業連合会)のフレームワークが強調するように、すべての国にとって2050年までのカーボンニュートラルに向けた実用的で持続可能な道筋を提供するためには、多様、かつ技術にとらわれないアプローチによる柔軟性が必要です

 一読すれば瞭然だが、要するに言っていることは「BEV一本槍は無理なので、マルチパスウェイでやりましょう」という話。ちなみに、この発表に名前を連ねている自動車工業会は以下の通り。

  • 欧州自動車工業会(ACEA)
  • イタリア自動車工業会(ANFIA)
  • 米国自動車工業会(Auto Innovators)
  • カナダ自動車工業会(CVMA)
  • カナダ国際自動車製造者協会(GAC)
  • 日本自動車工業会(JAMA)
  • フランス自動車工業会(PFA)
  • 英国自動車工業会(SMMT)
  • ドイツ自動車工業会(VDA)

 つまりこの声明は、自動車生産国の主要どころの総意ということになる。

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