専門家はクックパッドの現状をどう見ているのか。経営コンサルタントの関谷信之氏は「売上高は5期連続で減少(22年12月期時点)、特に広告売上は5年前と比べ約半分にまで落ち込んでいる」と指摘。「一部事業閉鎖に加え、会員数減少に広告主が敏感に反応したようだ」とみる。
苦境の背景には競合メディアの台頭とトレンドの変化を挙げる。競合の代表格が、エブリー(東京都港区)が手掛ける「DELISH KITCHEN」(デリッシュキッチン)とdely(東京都港区)が手掛ける「クラシル」だ。
テキストベースのクックパッドに対し、2サービスは高品質の動画を武器に利用者を伸ばしている。クックパッドも17年12月に「CookpadTV」を開始し、動画コンテンツに本腰を入れたものの、現在までビハインドの挽回には至っていない。
動画コンテンツのトレンドが“タイパ”重視に変わったことも影響しているという。関谷氏は「SNSの高品質画像に慣れ、タイパ重視のユーザーは、『読むより観る』『選ぶより推される』を選ぶ。アマチュアが撮影した写真と文章中心のクックパッドは、あまり魅力的ではなくなった。プロの手による、高い完成度の調理映像を1分弱で観ることができるクラシルなどの競合にシフトするのは無理もない。『毎日の料理を楽しみにする』をミッションとするクックパッド。映像を見る『楽しさ』で競合にお株を奪われた形だ」と指摘する。
クックパッドの定款は「世界中のすべての家庭において、毎日の料理が楽しみになった時、当会社は解散する」。解散はまだまだ先になりそうだ。
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