東芝が買収提案を受け入れ、上場廃止に向けて動き出した。提案したのは日本産業パートナーズ(JIP)。国内企業の出資と金融機関の融資により資金を調達する、いわば「国内連合」だ。株式公開買い付け(TOB)を開始し、3分の2以上の株式取得を目指す。
東芝は、2015年に発覚した「粉飾決算」以降、衰退が続いていた。今の東芝は、サザエさんとタラちゃんが「東芝がお送りいたしまーす」と宣伝してた頃の東芝ではない。日曜劇場で「人と地球の明日のために」と謳(うた)っていた頃の東芝でもない。消費者ではなく、企業間取引(BtoB)を主体とする企業だ。
消費者向け事業(BtoC)は売却してしまった。今、量販店に並ぶ「東芝」白物家電を生産するのは、中国メーカーの美的集団グループだ。「レグザ」ブランドのテレビは、同じく中国メーカーのハイセンスが、ノートPC「ダイナブック」はシャープの子会社Dynabookがそれぞれ手掛けている。
事業分割・売却の結果、東芝はずいぶん小柄になった。粉飾発覚前(15年3月期)に比べ、売り上げは6.6兆円から3.3兆円(2022年3月期)と半減。従業員数は20万人から11万6千人と約4割減った。残った事業は、鉄道システムなどインフラ事業、エレベーターなどビルソリューション事業、HDDなどデバイス事業、そして、原発含むエネルギー事業などだ。
「この先どうする?」。それが決められない。株主の考えが異なるからだ。中長期的視点で判断する国内機関投資家と、短中期的な利益を志向する海外投資家(物言う株主=アクティビスト)で意見が割れる。東芝側が提案する「会社分割案」に、国内機関投資家は賛成。「物言う株主」たちは反対だ。東芝側は、「物言う株主」たちに株主を辞めてもらいたい。そこで浮上したのが今回の「上場廃止」案だった。
東芝の上場における混迷は、以下2つに要約できる。
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