「外資系でしょ」と思っていたのに、実は日本に本社を構えている会社がある。洋菓子で有名な「モロゾフ」は兵庫県で生まれたし、ベッドメーカーの「フランスベッド」は東京に本社を置く。このほかにもたくさんある中で、個人的に気になっている会社がある。刃物やカッターなどを製造している「オルファ」だ。商品を見ると「OLFA」と書かれているので、海外の会社と思いきや、本社はコテコテの大阪である。
「オルファ? 知らないよ、そんな会社」といった人もいるかもしれないが、同社の製品を一度は使ったことがあるはず。刃先をポキポキと折って、最後まで使うことができる黄色のカッター。……と、たった一行説明するだけで「あ〜アレね。会社でも使っているし、子どものころ筆箱の中に入っていたような」といった声が聞こえてきそうである。
同社の人気商品の一つに「タッチナイフ」がある。半円形のカタチをしていて、ちょっと切るのに便利なアイテムとして支持されている。スライダーを押しているときだけ刃が出て、ストッパーまで押し込むと、刃を出した状態で固定できる。小学生のころは工作をするときに、大人になってからは段ボールに貼られたテープを切るときなどに、使っている人が多いかもしれない。
ところで、タッチナイフはいつ生まれたのか。気になったので、ちょっと調べたところ1979年である。当時、手のひらに収まるカッターがなかったので、同社は「コンパクトなモノをつくれば、売れるのではないか」と仮説を立てたところ、すぐに注目が集まったようである。
どのくらい売れたのか気になったので、オルファの担当者に聞いたところ「古い話になりますので、記録が残っていなくて。ちなみに、昨年(2022年)は55万個ほど売れました」とのこと。持ち運びが便利なこと、操作が簡単なこと、価格が100円ほどだったこと(現在はタッチナイフRを販売、価格はオープン)。この3つがウケて、子どもから大人まで幅広い層で広がったようである。
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