この戦略は間違っていなかったようで、市場はどんどん大きくなって、同時にオルファの質の高さが認知されていく。シェアがどんどん高まっていくことで、どういった流れが生まれたのか。後発メーカーは苦戦する→自社製品を見直す→売れている商品の規格にあわせる→オルファの刃の長さなどが世界標準になる、といった動きになったのだ。
余談になるが、刃先の角度をご存じだろうか。答えは「59度」である。カッターを開発する際、同社は「60度」で設計したものの、当時の分度器の精度は低く、あとで測ってみると「59度」だったとか。しかし、気づいたときには、後の祭り。刃の角度はすでに世界標準になったので、「すみません、やっぱり60度で(汗)」といった話にならなかったのである。
さて、ここで冒頭の話に戻そう。勘のスルドイ読者であれば、うすうす気づいていたと思うが、オルファという社名は折る刃にちなんだ、いわゆるダジャレである。折る刃、折るハ、オるハ、オルハ、オルファ……。「いやいやちょっと待って。なんで『オルハ』ではなく、『オルファ』なんだよ」と突っ込みたくなる気持ちは、よく分かる。
当時、折る刃にちなんで「OLHA」を考えていたそうだが、「H」を発音しない国がある。海外展開を考えていたので、それだと分かりにくい。というわけで、「F」に置き換えて「OLFA」としたのだ(1984年に社名変更)。
創業者が折る刃式のカッターを発明して、70年近くの年月がたつ。工業製品だけでなく文具としても売れたとなれば「刃物やカッター以外の商品も開発しようや」となってもおかしくはないが、他の領域に踏み出したことはない。
カッターを使っている人からは「ポキポキ」といった音が聞こえてきそうだが、会社の信念は「ポキポキ」と折れずに、この道一筋といったところである。
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