天下一品も参入? ラーメン×カレーの“二刀流”を実現する外食チェーンはどこかスピン経済の歩き方(2/4 ページ)

» 2023年06月20日 10時35分 公開
[窪田順生ITmedia]

本格的にカレー事業に参入する日

 そんな感じで「こってりMAX」に大満足して、お会計をしようとレジに向かったところ、なんとそこでは「カレー」が販売されていた。「こってり咖○(中国語でカレー)」(322円)というレトルトパックである。

 実はこれ、畜産系天然調味料メーカー、アリアケジャパンと天下一品が共同開発した「こってりスープ味のカレー」で今年2月28日から全国のスーパーなどで販売。天下一品でも4店舗のみだが、ランチメニューとして提供されたこともある。

天下一品の「こってりカリー」

 そんなレトルトカレーと今回発売された「こってりMAX」を見て、筆者はそう遠くない未来、天下一品が本格的にカレー事業に参入するのではないかと強く感じた。

 なぜかというと、実は今ラーメン屋でありながらも、うまいカレーを提供するという「二刀流」を目指すラーメンチェーンが多く存在しており、しのぎを削っているからだ。

 ご存じのように、カレーとラーメンはともに日本人にとって「国民食」と呼んでも差し支えないほど人気が高い。ということは、もしもカレーとラーメンが両方ともうまいと評判の店ができたら、理屈としては大繁盛するはずだ。ということもあって、ラーメンチェーン各社はカレー分野に進出している。限定メニューを開発して客の反応を調べるなど、トライアンドエラーを続けているのだ。

 分かりやすいのは、「げんこつラーメン」で知られる「らあめん花月嵐」だ。22年11月には「ザ・カレーラーメン嵐」「ザ・鉄板カレーライス」という限定メニューを同時発売。「国民食ラーメン×国民食カレー カレーラーメンは国民食になり得るのか?」というキャッチコピーでキャンペーンも展開した。また、「餃子の王将」でも22年8月に限定メニューとして「温玉 中華カレーラーメン」を発売して話題になっている。

話題を集めた「温玉 中華カレーラーメン」(餃子の王将、750円)

 このようなトレンドを後押ししているのが、数年前から続いている「町中華ブーム」だ。チェーン店ではない、いわゆる「庶民的な町の中華料理屋さん」にスポットが当たり、これを特集する番組や書籍まで発売されている。

 その流れで「町中華のカレーはうまい」がさかんに言われるようになり、これに便乗する形で、大手ラーメンチェーンも「ラーメン屋のカレー」を打ち出したが、残念ながら「町中華」ほどのブームをつくることができていない。

 例えば、幸楽苑では20年1月30日に「らーめん屋さんのカレー」というレトルトカレーを発売。この「らーめん屋さんのカレー」は現在、一部店舗では食べることもできるものの、「レギュラーメニュー」にはなっていない。

 22年7月には「カレーらーめんブラック/ホワイト」という限定メニューも発売されたが、残念ながら「幸楽苑といえばカレー」というほど市民権を獲得していない。また、ライバルの「日高屋」も同様で、「カレーライス」というメニューがあるが、こちらも定番というほどではない。

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