天下一品も参入? ラーメン×カレーの“二刀流”を実現する外食チェーンはどこかスピン経済の歩き方(4/4 ページ)

» 2023年06月20日 10時35分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「こってりスパイスカレー」の実現を

 ココイチという巨大な定番カレーがある中で、ラーメンチェーンのカレーが戦っていくにはこの道しかない。つまり、「ラーメン屋のカレー」ではなく、「天一カレー」のような呼称がつくほど、他にはない唯一無二のカレーを打ち出していくのだ。

 実際、ラーメンとカレーの二刀流で成功している非チェーン店では、ラーメンもカレーもともに「強い個性」がある。

 例えば、東京の蒲田には「武田流 古式カレー 支那そば インディアン」という店がある。こちらは創業1953年のカレーと支那そばの老舗。透明感ある魚介出汁に焦がし葱(ねぎ)が香ばしい支那そばと、独特のスパイスとコクのあるカレーのセットが人気で、かつて『マツコの知らない世界』でも取り上げられた。

 しっかりとした個性のあるラーメンに、独特のスパイスのカレーという個性と個性がぶつかりあっているくらいのほうが、実は「二刀流」は成功するのだ。

 事実、いわゆる家系ラーメンや二郎インスパイア系ラーメン店などの個人経営店の中には「こだわりのカレー」を提供して「ラーメンも人気だが、常連はカレーも頼む」なんて店も珍しくない。

天下一品のカレーは定着するのか

 クセの強いラーメン屋こそ、クセの強いカレーを開発して二刀流に挑戦すべきなのだ。そういう意味では、大手ラーメンチェーンの中で、最もこの条件を満たしているのは天下一品ではないか。

 今回、一流料理人たちが称賛したように、52年を経てもなおファンを引きつけるあのスープには、まだ大きなポテンシャルが秘められている。しかも、あのトロトロ感はライスとの相性もいい。

 ラーメン業界のイノベーションのためにも、ぜひ天下一品には「こってりスパイスカレー」の実現を本気で検討していただきたい。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。


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