消費者の傾向、若者の価値観、働き方の変化――このコーナーでは、ビジネスパーソンの働き方や企業の戦略立案に役立つようなさまざまな調査データを紹介していく。
AI与信管理サービスを提供しているアラームボックス(東京都新宿区)が1年以内に倒産する可能性が高い企業を分析し、「倒産危険度の高い上位10業種」を発表した。1位は「繊維工業」だった。
倒産事由や前兆とみられる情報を提供する同社の与信管理サービス「アラームボックス」でモニタリングしている1万4688社と、アラームボックスで配信した情報26万6495件を対象に分析した。
製糸業・紡績業・織物業などを含む繊維工業は、105社に1社が倒産する可能性がある。過去2回の調査で10位以内にランクインしていたが、初の1位となった。コロナ禍で消費者の外出減によって需要が縮小し、中小企業で財務体質が弱まった。加えて、円安による原材料コストの高まりが影響し、倒産や支払い遅延が相次いでいる。
2位は発電所や電力小売りなど「電気業」。106社に1社が倒産する可能性があるという。過去2回の調査でも2位だった。電力自由化以降、発電所をもたない、いわゆる「新電力」と呼ばれる小売り会社が林立したが、多くが事業停止や倒産に追い込まれている。
3位は電気工事業や管工事業などを含む「設備工事業」。126社に1社が倒産する可能性がある。小規模の事業者が多いことから、人件費や資材費の高まりによる影響を強く受けている。
過去2回連続で1位だった「農業」は、9位にランクダウンした。コロナ禍による業務用向け需要の減少などが落ち着いたことが影響している。
今回のランキングでは、前回の調査でトップ10だった業種のうち7つがランクイン。感染症法における新型コロナウイルス感染症の分類が5類へ移行した一方、コロナ禍の企業支援策が新規受付を終了し、「ゼロゼロ融資」の返済も本格化する。同社は、原材料費の高騰も長期化しており、資金力がない中小・零細企業の倒産が今後増加すると予測している。
調査期間は2022年6月1日〜23年5月31日。
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