irumoはライバルがサブブランドで提供している、いわばエコノミークラスのプランだ。従来、この価格帯にドコモの商品はなく、OCN モバイル ONEがその役割を担ってきた。OCN モバイル ONEを廃止してirumoを始めるというのだから、その受け皿となるべきだが、実際には少しばかり位置付けが違う。
irumoは、dカード支払いと家庭向け回線(ドコモ光・5G home)をセットにすることで表向きの最安値は、OCNユーザーの受け皿になることを意図している。しかし事実上の値上げだ。家庭向け回線とのセット割引がなければ価格的な魅力はなく、価格重視でエコノミープランを選ぶ人たちにとっては意味不明なプランといっても差し支えないと思う。
ドコモは、irumoをエコノミークラスのサービスとして、他社のサブブランド対抗にしたいのだろう。ただしirumoは店頭でのサポートを付け、有料とはいえドコモの手厚いサービスを受けられる。
ドコモ品質のまま料金をエコノミークラスにまで引き下げることを念頭に、他社サブブランドと競合することなくサービス品質で勝負。家庭向け回線のセット販売を強化することで、モバイルデータの契約通信量を低めに設定──というのが、企画意図ではないだろうか。
世帯主の高齢化が進行して通信料金を気にするようになっていく中、世帯主に魅力あるサービスを提供し、家族割でその家族を引き止めたいといったところだろうか。
個人的には「ahamoを低価格方向に展開するプランの方が、より実態に合っているのでは?」と思うが、ドコモの目は「あくまでドコモ回線がいい」という人に向いているのだろう。せっかくahamoで若い世代への訴求ができたというのに、世帯主に訴求した上でファミリー割引という過去の成功事例に頼っている印象も強いが、果たして消費者の理解は得られるのか。
分かりにくいという声が大きい、irumo、eximoというそれぞれのブランドも、長く続ければそれなりに理解も進む可能性もあるが、ブランド名から品質の上下を想像できないというのはやはり好ましいとはいえない。
回線品質を整えて信頼を回復することが前提ではあるが、せっかく歴史あるドコモのブランドである。「docomo」と「ahamo」のダブルブランドにした上で、それぞれに必要なサービスの規模感を数字とし、「docomo 1、2、3」「ahamo 1、2、3」といったシンプルな構成でも良かったのではないだろうか。
同じ品質の回線ながら、どこまで手厚く手助けしてくれるのか。どこまで多くの通信を行うのか。この2つの軸で商品を設計すれば見通しが良いと思うのだが、さて、市場は新しいブランディングをどう判断するだろう?
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